はじめに

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こちらのサイトでは最新の銀行実務について、ご案内したいと思います。
管理人は現役の金融マンです。
銀行実務の参考にしていただければ幸いです。

適切な保証金額の設定

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対象債権者は、保証人と保証契約を締結する際には、経営者保証に関する負担が中小企業の各ライフステージにおける取組意欲を阻害しないよう、形式的に保証金額を融資額と同額とはせず、

1.保証人の資産及び収入の状況
2.融資額
3.主たる債務者の信用状況
4.物的担保等の設定状況
5.主たる債務者及び保証人の適時適切な情報開示姿勢

等を総合的に勘案して設定するものとされています。

(続く)

経営者保証の契約時の対象債権者の対応

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ガイドライン5項では、対象債権者が前記事項に即して検討を行った結果、経営者保証を求めることが止むを得ないと判断された場合や、中小企業における法人個人の一体性に一定の合理性や必要性が認められる場合等で、経営者と保証契約を締結する場合、対象債権者が努めるべき対応について定めている。

1つは、主たる債務者や保証人に対する保証契約の必要性等に関する丁寧かつ具体的な説明であり、もう一つは、適切な保証金額の設定である。

対象債権者は、保証契約を締結する際に、以下の点について、主たる債務者と保証人に対して、丁寧かつ具体的に説明することとされている。

1.保証契約の必要性

2.原則として、保証履行時の履行請求は、一律に保証金額全額に対して行うものではなく、保証履行時の保証人の資産状況等を勘案した上で、履行の範囲が定められること

3.経営者保証の必要性が解消された場合には、保証契約の変更・解除等の見直しの可能性があること

具体的な説明内容としては、例えば、要素のどの部分が十分ではないために保証契約が必要なのか、どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるのか、などが考えられる。

なお、「保証契約の変更」には、既存の保証契約を停止条件又は解除条件付保証契約に変更することも含まれる。

(続く)

経営者保証を求めない可能性及び代替的な融資手法を活用する可能性

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法人個人の一体性の解消等が図られている、あるいは、解消等を図ろうとしている主たる債務者が資金調達を要請した場合、主たる債務者において以下のような要件が将来に亘って充足すると見込まれるときは、対象債権者は、主たる債務者の経営状況、資金使途、回収可能性等を総合的に判断する中で、経営者保証を求めない可能性及び代替的な融資手法を活用する可能性について、主たる債務者の意向も踏まえた上で、検討するものとされている。

1.法人と経営者個人の資産・経理が明確に分離されている。

2.法人と経営者の開の資金のやりとりが、社会通 念上適切な範囲を超えない。

3.法人のみの資産・収益力で借入返済が可能と判断し得る。

4.法人から適時適切に財務情報等が提供されている。

5.経営者等から十分な物的担保の提供がある。

ただし、これらの要件全ての充足までは求められていない。特に5の要件は3の要件を補完するものと位置付けられており、経営者による物的担保の提供が推奨されているわけではない。

金融機関としては、取締役会の適切な牽制機能が働いているか、監査体制が確立しているか、法人の経営と所有(株主)が分離しているか等を検討し、主たる債務者において内部又は外部からのガバナンスが十分に働いており、将来に亘って要件を充足する蓋然性が高いと考えられる場合には、経営者保証を求めないことに合理性が認められる。他方、内部又は外部からのガバナンスが十分でない場合には、将来に亘って要件が充足されることを担保するため、特約条項を付した停止条件又は解除条件付保証契約等の代替的な融資手法を活用することが考えられる。

(続く)

ABLと金利の一定の上乗せについて

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ABL(Asset Based Lending 流動資産担保融資)とは、企業が保有する在庫や売掛金等を担保とする融資手法をいう。

当該手法を採用した場合、金融機関としては、企業の在庫や売掛金等を継続的にモニタリングすることを通じて、企業の経営実態をより深く把握することが可能となり、信用リスク管理の強化が期待できる。

その一方で、モニタリングのためのコストがかかることに留意するほか、とりわけ在庫を担保とした場合、担保権実行の際の目的物の処分方法についてあらかじめ検討しておく必要がある。

金利の一定の上乗せについては、一律の基準はなく、経営者保証を求めないことのリスクに見合った適切な金利が個別に設定されることが想定されている。

主たる債務者及び保証人に対して金利の一定の上乗せを提案した場合、経営者保証を提供することを選択することが多いのではないかと思われる。

その場合、金融機関としては、当ガイドライン5項に即して、保証契約の必要性等について丁寧かつ具体的に説明するとともに、適切な保証金額の設定に努める必要がある。

(続く)

経営者保証に関するガイドラインの概要

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経営者保証に関するガイドラインは7項で構成されており、
1.制定の目的、準則、適用対象となり得る保証契約を定めた上で(GL1項~3項)
2.保証契約時等の対応(GL4項~6項)
及び
3.保証債務の整理の際の対応(GL7項)について定められている。

本稿では、このうち保証契約時等の金融機関の対応及び保証債務の整理の際の金融機関の対応を中心として解説する。

本ガイドライン4項では、対象債権者に対して、経営者保証の機能を代替する融資手法のメニューの充実を図ることを求めている。

具体的には、
1.停止条件又は解除条件付保証契約
2.ABL
3.金利の一定の上乗せ
が例示されている。

停止条件付保証契約とは、主たる債務者が特約条項(コベナンツ)に抵触しない限り保証債務の効力が発生しない保証契約をいう。

また、解除条件付保証契約とは、主たる債務者が特約条項を充足する場合は保証債務が効力を失う保証契約をいう。

特約条項の主な内容としては、次のようなものが想定されるが、具体的な内容は個別案件における当事者間の調整により確定するものとされている(Q&A「各論」Q4-8)。
1.役員や株主の変更等の対象債権者への報告義務
2.試算表等の財務状況に関する書類の対象債権者への提出義務
3.担保の提供等の行為を行う際に対象債権者の承諾を必要とする制限条項等

金融機関としては個別案件において当該手法を採用する際、そのような特約条項を定めることが適切であるかを検討する必要がある。

(続く)